設立趣旨
応用カオス研究部会は、カオスの基礎・数理的側面とその応用・実践的側面について、既存の学問分野の壁に捉われない形の学術的な交流の場を作ることを主な目的として、2006年4月1日に設立されました。発起人も、大学、研究機関、企業といった異なるセクターの研究者からなり、今までの研究会も様々なセクターの方が参加され、応用数理と同じく学際的なカオスに関る研究が、一時のブームの時代を経て、更に深化発展していますが、我々も、このカオスの新しい展開に大きく貢献したいと考えております。
1961年、世界で初めて物理現象の中でカオスの発見が上田によってなされて40年以上経過し、ポアンカレによって19世紀に数学的にその存在が確立され 既に100年以上経っていますが、何故今頃"応用カオス研究部会"なのでしょうか? 一つは、カオスが、カオス研究だけで留まらない、非常に実践的で多岐に渡る応用(例えば、携帯電話の信号の送受信方法、金融工学、予測理論、暗号、乱数発生、モンテカルロシミュレーション等)があり、数々の基礎学問(例:古典力学、力学系、確率過程、統計力学、エルゴード理論、計算理論、数値シミュレーション、統計学、等)と深い関りがあるにも関らず、それをきちんと学術的に議論・評価する場が今までなかったからです。又、応用カオスどころか、カオスの基礎も議論する場が、応用数理学会以外の既存の学会から最近失われてしまったという若手研究者の声をよく耳にする様になったからです。そこで、我々は、失われた機会を再び作るとともに、今まで、どこでも議論できなかったカオス応用の学術的な議論をできる場を、この日本応用数理学会の優れた研究部会制度の仕組みを利用させていただき、設立することにしました。
2007年10月20日
梅野 健
—日本応用数理学会応用カオス研究部会発起人を代表して