大久保 健一 (おおくぼ けんいち)

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〈研究テーマ〉物性におけるカオスと拡散についての研究

〈研究内容>
1. ハミルトン系のカオス
可積分なハミルトンに微小な摂動を加えても不変トーラスは生き残ることがわかっている.
つまり, 摂動が小さければ, 相空間にカオスとトーラスが共存し, カオス相とトーラス相
の境界付近で特異な現象が観察される.
系の自由度が2より大きい場合, トーラスが相空間を切断することができなくなるので,
カオス相に初期点をとった場合, 粒子はトーラスの切れ目から抜け出して広がることができる.
このような現象をArnold拡散という.
一方で, 摂動をさらに大きくすると, Chirikov拡散という新しい拡散が発生する.
Chirikov拡散は共鳴オーバーラップにより, 粒子が共鳴chainを渡ることで生じ, Arnold拡散より高速な拡散である.

2. 弱いカオスの判定方法
カオスの判断基準として, 広くLyapunov指数(LCE)が用いられている.
LCEの逆数であるLyapunov時間(LT)はLCEを求めるのに必要な時間(T)と関わっており,
小さなLCEを持つ系ではTがLTの10倍以上になることが知られている.
Froeschléらは高速にカオス性を判定するために, Fast Lyapunov indicator(FLI)を
考案した. さらに, FLIの欠点を改善したOFLIやOFLI2が考案されている.

3. 密度関数がわかっているカオス写像
カオス写像の解析を行う際, 写像の不変測度(密度関数)が分かると大変有益である.
一般化Boole変換は不変測度が分かっていて, Lyapunov指数等の物理量
の解析のみならず, 位相共役性の拠り所にすることで, 他の写像の解析にも
大きく貢献できる. 加えて, ハミルトン系におけるこの種の写像を研究している.

4. 量子系のカオス
非線形Schrodinger方程式では, L2ノルムを用いた距離で,
の指数関数的な軌道拡大が観測されている. 様々な非線形偏微分方程式
を数値解析的に研究し, 実際の現象と対応させることで, カオス性が
量子の分野で新しい貢献を果たすと考えられる.

メール:okubo.kenichi.65z[at]st.kyoto-u.ac.jp (*[at]→@に変えて送信してください)

〈研究発表〉
・国際会議(査読あり)
Ken-ichi Okubo and Ken Umeno, New chaos indicators for systems with extremely small Lyapunov exponents,
Chaos, Complexity and Transport 2015, 3rd Jun. 2015., Marseille/France. (口頭)

・国内発表
2015年4月25日(土) AICS研究会「非平衡・非線形現象の数理」(早稲田大学)
「2階の微分を用いた新しいカオス判定指標」
○大久保健一(京都大学D1), 梅野健

2015年3月21日(日) 日本物理学会 第70回年次大会 (2015年) (早稲田大学)
「弱いカオスの検出方法FLIの拡張について−アーノルド拡散からチリコフ拡散への転移について−」
○大久保健一(京都大学M2), 梅野健

2015年3月7日(土) 日本応用数理学会 2015年 研究部会連合発表会 (明治大学)
「tangent関数を用いたシンプレクティック写像 」
○大久保 健一 (京都大学M2), 梅野 健

2014年11月1日(土) レーザー学会技術専門委員会「レーザーのカオス・ノイズダイナミクスとその応用(宮古島マリンターミナル)
「2階の微分まで用いたカオス指標 -Part Ⅱ」
○大久保健一(京都大学M2),梅野健(京都大学)

2014年10月29日(水) Japan-Slovenia Seminar on Nonlinear Science(奈良女子大学)
「Ultra Fast Lyapunov Indicator」*ポスター発表
○大久保健一(京都大学M2),梅野健(京都大学)

2014年 9月26日(金) 第10回 レーザー学会専門委員会「レーザーのカオス・ノイズダイナミクスとその応用」(静岡大学)
「2階の微分まで用いたカオス指標 -Part Ⅰ」
○大久保健一(京都大学M2),梅野健(京都大学)

2014年 9月5日(金)  日本応用数理学会 2014年度年会(政策研究大学院大学)
「シンプレクティック可解カオス系の非平衡統計力学的な性質」
○大久保健一(京都大学M2),梅野健(京都大学)

2014年 7月22日(火)  電子情報通信学会 非線形問題研究会(函館市中央図書館)
「変形Froeschle写像とq-Gaussian分布の関係」
○大久保健一(京都大学M2),梅野健(京都大学)


2014年 3月20日(木)  第10回 日本応用数理学会 研究部会連合発表会(京都大学 総合研究8号館 講義室4)
「Arnold拡散とChirikov拡散間の推移について」
○大久保健一(京都大学M1),梅野健(京都大学)
LinkIconプログラム

2013年 9月25日(水)  第6回 レーザーカオス・ノイズダイナミクスとその応用 専門委員会(石垣市・官公労共済会八重山会館)
○大久保健一, 梅野健『アーノルド拡散に対する現象論的アプローチ』
LinkIconhttp://chaosken.amp.i.kyoto-u.ac.jp/laser_ishigaki.html